体外受精のメリット・デメリットとは?

体外受精(IVF)は、不妊治療の一つとして広く利用されている医療技術です。特に、自然妊娠が難しいカップルにとって、有力な選択肢となります。しかし、体外受精には多くのメリットがある一方で、費用や身体への負担などのデメリットも存在します。

今回は妊活の教科書より、体外受精のメリットとデメリットを詳しく解説し、治療を検討している方に役立つ情報を提供します。

目次

体外受精のメリット

まずは、体外受精のメリットについて見ていきましょう。

体外受精のメリット1.妊娠の可能性を高める

体外受精は、自然妊娠が難しいカップルにとって、大きな希望となる治療法です。特に以下のようなケースでは、体外受精が有効とされています。 

  • 卵管の閉塞や損傷がある場合 
  • 重度の男性不妊(精子の数が少ない、運動率が低い) 
  • 高齢による妊娠率の低下 

これらの条件に当てはまる場合でも、体外受精によって妊娠の可能性を高めることができます。

体外受精のメリット2.原因不明の不妊にも対応可能

不妊の原因が特定できない場合、一般的なタイミング法や人工授精では結果が出にくいことがあります。体外受精では、受精の過程を体外で管理できるため、原因不明の不妊に対しても有効な治療法となります。

体外受精のメリット3.受精卵の選別ができる

体外受精では、複数の受精卵の中から質の良いものを選んで子宮に戻すことが可能です。そのため、妊娠の成功率を高めるだけでなく、着床の可能性も高まります。

体外受精のメリット4.着床前診断が可能

特定の遺伝的な疾患を持つリスクがある場合、体外受精を利用することで着床前診断(PGT)が可能になります。これにより、健康な受精卵を選択し、遺伝的疾患のリスクを軽減することができます。

体外受精のメリット5.凍結保存が可能

体外受精では、余った受精卵を凍結保存できるため、次回以降の治療に活用することができます。これにより、再度採卵する必要がなくなり、身体的・経済的負担を軽減できます。

体外受精のデメリット

続いて、体外受精のデメリットについて見ていきましょう。

体外受精のデメリット1.費用が高額

体外受精は、高度な医療技術を必要とするため、費用が高額になりがちであり、経済的負担が大きい点がデメリットの一つです。

体外受精のデメリット2.身体的負担がある

体外受精では、排卵誘発剤の使用や採卵など、女性の身体に負担がかかります。特に、排卵誘発剤による副作用(腹部の張り、吐き気、卵巣過剰刺激症候群など)には注意が必要です。

体外受精のデメリット3.成功率に個人差がある

体外受精は妊娠率を高める方法ですが、100%成功するわけではありません。年齢や卵子の質、健康状態によって成功率は大きく異なり、複数回の治療が必要になる場合もあります。

体外受精のデメリット4.多胎妊娠のリスク

複数の受精卵を移植することで妊娠率を高める方法もありますが、その結果、多胎妊娠(双子や三つ子など)になる可能性が高まります。多胎妊娠は、母体と胎児の健康リスクを伴うため、慎重な判断が求められます。

まとめ:体外受精のメリット・デメリットとは?

いかがでしたか?今回の内容としては、

体外受精のメリット 

妊娠の可能性を高める・原因不明の不妊にも対応可能・質の良い受精卵を選別できる・遺伝的リスクを軽減できる(着床前診断)・受精卵の凍結保存が可能

体外受精のデメリット 

費用が高額・身体的負担が大きい ・成功率に個人差がある ・多胎妊娠のリスクがある

以上の点が重要なポイントでした。体外受精は、不妊治療の中でも有力な選択肢の一つですが、メリットとデメリットを理解した上で、自分に合った治療方法を選ぶことが大切です。専門医と相談しながら、納得のいく形で治療を進めることが成功への鍵となるでしょう。

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この記事の監修

成川希のアバター 成川希 産科婦人科専門医、女性ヘルスケア専門医、日本抗加齢医学会専門医、産業医

岐阜県生まれ。岐阜大学医学部を卒業後、同大学産婦人科に入局し岐阜県内の病院で勤務。AUCM(米国補完医療大学)、インド国立グジャラートアーユルヴェーダ大学病院、JIVAアーユルヴェーダクリニックなどでアーユルヴェーダの研修と実践を重ねる。
2016年から東京に拠点を移し、都内婦人科で臨床医として現場に立つ一方、2022年9月よりアーユルヴェーダの観点からの診察・施術を行うAyurvedaUniverse(アーユルヴェーダユニバース)代表。
産科婦人科専門医、女性ヘルスケア専門医、日本抗加齢医学会専門医、産業医

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